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スコット・ジュレク(Scott Jurek)、超長距離を走るヴィーガン(完全菜食主義者)。3,540kmを46日で、160kmを15時間で走る伝説のウルトラマラソン/トレイルランナー

ウルトラマラソンの狂気的な走行距離

今日、紹介するのは「牛・豚・鶏や魚などの肉や、卵やミルクなどの乳製品に至るまで、一切摂取しない食生活をする」いわゆるヴィーガン(完全菜食主義者)のアスリートです。ウルトラマラソンと呼ばれる、フルマラソンを超えた距離を走るランナーです。ウルトラマラソンは一般的には100マイル(160km)が基本なのだそうですが、コースの内容や距離は幅広くタイトルにもあるように3,540kmなんていう少し狂気のレース(アパラチアントレイル)もあるようです。ツール・ド・フランス(約3,500km)のランニング版みたいな感じですね。当然寝ないといけないので、ノンストップではないですが。160kmと言えば大阪から岡山、大阪から名古屋ぐらいの距離です。新幹線で1時間ぐらい。3,540kmはこんな感じ。レースコースの画像がありました。この画像だとなんか近く見えます。

 

www.runnersworld.com

 

こちらではどうでしょう。

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うーん。アメリカ大陸全体でみると、よーく分かる超長距離です。そのウルトラマラソンの伝説的なランナーを紹介します。

伝説のウルトラ・マラソンランナー スコット・ジュレク(米国)

画像:www.telegraph.co.uk

スコット・ジュレクは若き頃アルペンスキーの選手でもありました。速く長く走ること、その地球と繋がるような気持ちよさに気づいたのは、母親が転倒により歩けなくなってしまった事や、父親との不仲など家庭での葛藤や自らの境遇に悶々としていた頃でした。日本語に訳され、NHKでも取り上げられた彼の著書(Eat & Run:100マイルを走る僕の旅)はその頃のストーリーから始まります。彼は速く走るということについては、特別才能に恵まれた選手ではなかったそうです。とは言え、長距離レースといえども書籍で語られていたそのペースは一般人にすると速いです。彼のトレーニングメニューを見るとキロ3分台でインターバル走などを行っています。

 

超長距離ランナーとしてのヴィーガンの必要性と効果

 

www.bikerumor.com

 

彼は若い頃はヴィーガン(完全菜食主義者)でもベジタリアン(主菜主義)でもありませんでした。マクドナルドが好きなごく普通の若者だったそうです。彼も前回の記事で紹介したBrendan Braizer(ブレンダン・ブレイザー)のように、長距離に挑む者としての最適な食事を見極める為に実験し、最適解がヴィーガンであることに辿り着いたそうです。

 

160kmを15時間程掛けて走る間に、当然レース前に摂取した食事からのエネルギーは枯渇してしまいます。ウルトラマラソンランナーに求められる能力として、レース中に効率的に食べ物からエネルギーを得ること、そして速いペースで走りながら同時に消化もしないといけません。多くの競技者と同じく、レースやトレーニング後の回復も重要です。

 

スコット・ジュレクは1997年に肉を食べるのを止め、1999年に完全にプラントベースの食事になったそうです。最初のキッカケは結婚した彼女がベジタリアンであったこと、その後まずはレースではなく、母親の歩行困難をきっかけになった理学療法士として、栄養的に悪い食事が病気の原因になる事を患者を見ていて感じ、アスリートとしての食事について仮説が立った。その後、実践の中で仮説が確信に変わり、キャリアの中で進化していった。彼はアンドルー・ワイルという医者の「癒す心・治る力」という本を何度も読み、適切な食物の摂取と毒素の排除により、人間の計り知れない回復能力が発揮できることを学んだそうだ。

 

癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか (角川文庫ソフィア)

癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか (角川文庫ソフィア)

 

 

ヴィーガンの食生活はとても豊かに見える

料理を振る舞うスコット・ジュレク 彼は人の為に料理をするのが大好きらしい

 www.nytimes.com

 

彼の食事やレシピも著書の中で写真とともに紹介されています。どれも食欲を駆り立てる美しいモノでした。自分にとってはヴィーガンという食事のイメージを少し変えました。とても素材や調理も含めて豊かなものです。彼のレシピに多用される食材はよく知られる一般的な野菜や果物、豆類に加え、スピルリナ、ニュートリショナルイースト、フラックスシード、チアシード、キノア、ワカモレ、キャロブ、テンペなど、栄養価の高いスーパーフードや豊かな食感や見た目を加えるものがよく使われている。スパイスをふんだんに使ったレシピが多く、載っていたミネソタ風チリビーンズなどを作ってみたが本当に美味しかった。

 

runningstreet365.com

 

また、彼は日本の食材も好み、海苔を巻いたおにぎりなどもレースの際に食べるそうだ。これは日本を代表する石川弘樹さんから教わったものだそうだ。彼は武士道を語るほど精通しているそうだ。写真はトークショーで共演した二人。チームメイトとして一緒に生活をしたことがあるそうだ。

 

彼の偉業と超長距離ランナーの精神世界 

反射素材のウェアを着てバッドウォーターを走るスコット・ジュレク

blogs.denverpost.com 

 

彼は数々の伝説を残していますが、最も語られるのはウエスタン・ステートと、バッド・ウォーター135の連続優勝です。全行程217km、累計標高差約4,000m、気温50度を超える、カリフォルニアのデスバレー(死の谷)を通るウルトラマラソンレースです。このレースは世界でも最も過酷と言われるレースです。スコット・ジュレックの名を伝説にしたのはこのレースをコースレゴードを塗り替える記録で制した2005年の出来事です。日本語でもこの事を取り上げているブログは数多いです。彼はなんとこのバッドウォーターの数週間前に、ウエスタンステートという160kmのレースを制しているのです。著書の中でもこのバッドウォーターの凶悪さが描かれています。まるで「脳から火が吹いて、体が燃えている」ような感覚だそうです。彼のこの挑戦が、7年に渡る菜食習慣やウエスタンステートからの回復不足などが理由で不可能だと言われていた事もその偉業を際立てました。

 

スコット・ジュレク曰く、ウルトラマラソンを走る彼らは、その驚異的な数字や優勝という結果ではなく、トレーニングやハードなレースで降りかかる問題の解決というゴールプロセスを楽しんでいるという。精神的なスポーツと彼が言うのも、肉体的な戦い以上に、孤独で(ペーサーと呼ばれる伴走者はいるものの)長時間戦うウルトラマラソンはレース中に何を考えるのか、もしくは何も考えなくてもいい状態に自らの精神を運べるかというヨガに通ずるものがありそうだ。スコット・ジュレクは訓練としてヨガにも熱心に取り組んでいる。

 

著書の中に登場するスパルタスロン(古代ギリシャの神話をもとに作られたレース)のエピソードでは、このレースで活躍したイアニス・クロースの発言は印象的であった。「ウルトラマは究極的には超越した次元に達する為の訓練だ」「ランナーが昼間から夜中まで全ての時間帯を経験し、その変化の中で走り続けなければならない。長時間にわたって、いずれは筋肉が消耗され疲労し、そこで自分が生まれ持った運動能力や体力に、関係なく走れるかどうかが証明される」、これに対してスコット・ジュレクは共感し、「燃料が全部なくなって初めて新たなエネルギーを探し出せるのだ。ウルトラマンの痛みに耐えられる人には至福が待っている」と述べている。

 

直接的に語られてはいないが、ヨガに熱心に取り組む人はその食事もシンプルだ。余計な化学物質を摂取しないことで、この精神的な"ゾーン"に近づける可能性を高めるとヨガの本で読んだことがある。直接的に言及されていないが、スコット・ジュレクが菜食なのはパフォーマンスの向上が第一の目的であるが、彼はこの精神的な影響も考慮しているかもしれないですね。

 

スパルタスロンを走るスコット・ジュレク(後方に遺跡)

 

davekrupski.wordpress.com

 

彼はこのスパルタスロンを走る1週間ほど前に足の指をぶつけ、骨折しています。彼の言葉でウルトラマラソンというものが何たるかを強烈に私にイメージさせたのは、「折れた足の小指はもう気にならなくなっていた。体は痛かったけど、もうどうでもよかった」という記述です。アドレナリンで痛みが一時的に感じられなくなるのは個人でも経験があるし、フランスワールドカップで中山雅史さんが骨折しながら得点した事でも有名な話ですが、ウルトラマラソンは時間がケタ違いに長いです。ウルトラマラソンには元麻薬中毒者も多いそうです。ウルトラマラソンの精神的な効果がどれほどなのか。

 

彼の著書(Eat & Run:100マイルを走る僕の旅)は主にウルトラマラソンについて、ヴィーガニズムについては一部です。彼はヴィーガンを実践するから凄いのではなく、彼は凄いしそれを支えるのがヴィーガニズムであるという事。ウルトラマラソンのレースをよく想像できる描写が素晴らしく、またコラムという形で、あらゆるステージのランナーに向けたランニングの始め方から、フォームなどの技術などを紹介してくれています。あと、レシピ。

 

EAT&RUN

EAT&RUN

  • 作者: スコット・ジュレク,スティーヴ・フリードマン,小原久典,北村ポーリン
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2013/02/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 2回に渡って、ヴィーガンのアスリートを紹介しました。面白いだけではなく、参考にできる部分があり、また新しいアンテナが立ったかなと思います。

 

自分の走るリズムはもうリズムじゃなかった。ただ存在するだけだった。すべてであり、無だった。Scott Jurek

 

ヴィーガンって何?って人はこちらの記事がよくまとまってます。

blog.govegan.tokyo