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IoT(モノのインターネット)最大の課題、ビッグデータについて<パート2> IoT時代のデータの標準化、資産化、流動化、所有権とは。

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IoTの価値最大化の鍵はデータの解析と応用にある。その為の課題は?

 2回に渡って『IoTとデータ』についてお話しをしています。その理由は「IoTのパワーとは様々なモノがインターネットに繋がる事により、リアルタイムに収集されたデータから最適化を図る事ができる」ことであり、「その鍵はデータの解析と応用である」からです。つまりデータなくしてIoTはないのです。今回の記事でお話しするのは、以下の内容です。

  • IoTにおける、ビッグデータ活用のハードルがなぜ高いのか② 標準化
  • IoTにおけるビッグデータ活用のハードルがなぜ高いのか③ プラットフォーム
  • IoTにおける、データ流通プラットフォームやマーケットの役割
  • IoTにおける、データの議論 「企業が集めたデータは誰のものか」
  • IoTにおける、新しい専門家の必要性 データ専門弁護士 データデザイナー

IoTにおける、ビッグデータ活用のハードルがなぜ高いのか② 標準化

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画像:SevOne IoTにおける標準化アライアンスバトルの様相

これは、現在世界の様々なIoTに関わるプレイヤーが議論を進めています。IoT時代にモノに搭載されたセンサーから集まるデータは多種多様です。ヘルスケア関連の例で、どのようなデータが収集され得るのか考えてみましょう。

  • 体温
  • 心拍数
  • 脈拍
  • 血糖値
  • 歩数
  • 睡眠時間
  • 消費カロリー

等々、挙げれば切りがありません。消費者としての生活でも数え切れない種類のデータがあり、更に産業分野まで及ぶと何千万〜億の単位のデータの種類があるでしょう。

もしこれらが、なんのルールのないままやり取りされ始めたらどうなるでしょうか。

データの種類×データの規格数=無限

 となってしまい、これでは「スピィーディに解析しリアルタイムに制御したりフィードバックを返す」なんてことはできなくなってしまいます。データの変換がブレーキになってしまうのです。この問題は国際的に話されていて、すでに乱立してしまった標準化をしようとしている団体をどう標準化するか、という課題をまずはクリアしないといけないのです。前回の記事でもお話ししたとおり、標準化は威信をかけた覇権争いでもあります。IoTに火がついた時には、既に時遅しで戦国時代になってしまっていたのです。

これはIoTを活用しようとする企業の中や、協力する企業間でも、最初に必ず「どの規格で行くか」合意がされるので、このようなクローズドな関係の中での標準化は問題ないのですが、問題はその後です。手探りで始めたIoT活用が軌道に乗り、「あのデータも購入し、解析範囲に入れたい」、「今ある自社のシステムにあの領域を加えたい」と次のステップに進む際に「その領域はデータの規格が違い、現在の単位当たりのデータ処理コストに加えこれだけコストが増えます」みたいなことが起こり得るのです。

IoTのデータはますますグローバルに海を超えて活用され、たくさんの点(ソフトウェア)を通り処理・活用されます。こえをスムーズに通り抜けるようにする為に標準化は欠かせないのです。データの規格だけでなく、データが通るネットワークや通信規格の標準化も必要です。IoT時代には低消費電力かつ低コストな広域ネットワーク(通称:LPWA)が必要です。これに向けて、『LoRa』という標準化団体の規格を採用したネットワーク網の整備が日本でも進んでいます。ソフトバンクがリリースを発表した『LoRa WAN』もこの1つです・

IoTにおける、ビッグデータ活用のハードルがなぜ高いのか②プラットフォーム

IoTを始める為のハードルやリスクをお話ししてきました。前回お話しした企業の課題とは、以下の4つでした。IoTに取り組まないことが最大のリスクだが、取り組み果実を実らせる為には確固たるハードルがあるのです。

  1. セキュリティ
  2. データ系人材の不足
  3. 社内の意識改革
  4. グローバルルールの整備

先行追加投資、セキュリティリスクなど、企業の意思決定者の腰を重くさせてしまいますが、これを軽くさせる為にどうしても与えたいインセンティブがあります。それは、「データの資産化」「データの流動化」による、新たな収益源の機会です。

ただ単に、「データを収集して、自社のビジネスがブラッシュアップできる」だけでは、不確実性が高すぎます。集めたデータをなんらかの形で「お金に変える手段」が明確に存在するのであれば、投資の回収を考える上では少し楽になるばかりか、これまでデータを収集してきたのに活かせてこなかった企業や、機会はあるが実施してこなかった企業にとってはIoTが大きなビジネスチャンスになり得ます。

さて、このデータの資産化と流動化にはどのようなステップがあるのでしょうか。

金融市場と同じように考えるとわかりやすいです。『資産』が価値を持つには『流動性』つまり自由に売却可能であることが条件です。これは株式においても、市場が存在し、そこで自由に売却できるから資産として考えることができるのです。譲渡に制限があったり、市場が存在しない場合は、この要件を満たさないのです。

データの場合も同じです。データが自由に譲渡(流通)でき、売買したい当事者を結びつける市場が存在して初めてデータが資産化するのです。これまで、企業が自社で活用する為に収集し、確かに利益に結びついていると考えられるたデータでも財務諸表の貸借対照表上でも資産として計上することはできませんでした。これは、市場が存在しないために価値が明確に判定できないからです。しかし、流動性がある有価証券のように、データが資産として財務諸表(経営者の通知表)に計上できるようになれば、経営者は積極的に取り組むでしょう。投資家も正しくその企業の実力を判断しやすくなります。これを実現することがハードルなのです。ITやテクノロジーの世界での整備、そして、財務・監査など金融に関わるプレイヤーの協力が必要なのです。

IoTにおける、データ流通プラットフォームやマーケットの役割

さぁ、キーワードは『市場』です。ITの世界では『プラットフォーム』と呼ばれることが多いです。さて、このプラットフォームにはどのような役割が求められるのでしょうか。マッキンゼーのレポートによると、大きく分けて6つ存在します。

  1. Building an ecosystem. (エコシステムを築くこと)By assembling multitudes of third-party participants, companies can increase the relevance of their own digital platforms.
  2. Opening up new monetization opportunities.(新しい収益化の機会を作ること)
  3. Enabling crowdsourcing.(クラウドソースを可能にすること)
  4. Supporting interoperability(データの互換性を支えること)
  5. Creating a central point of “discoverability.” (データの発見可能性を作ること)Marketplaces offer customers a central platform and point of access to satisfy their data needs.
  6. Achieving consistent data quality.(データのクオリティを担保すること)

    参考:Creating a successful Internet of Things data marketplace | McKinsey & Company

これは、このままでも非常にわかりやすいのですが、要するに、プラットフォーマーの役割は、以下の通り表現することができます。

「データの互換性や標準化、質の担保、ライセンスの発行などデータが資産化する為の要件を満たすよう支えつつ、データを売り買いしたり、解析したりというプレイヤーが参加しやすいように、使いやすい場所(市場・プラットフォーム)を作ること」です。

金融市場と同じです。「監査法人に公正であると承認された財務諸表と上場審査書類を審査し、証券を売りたい、証券を買いたい人を信頼がある中で取引させる」ことが役割です。

日本でもつい先日、このデータ流通プラットフォーム『Every Sense』がオープンしました。この図はわかりやすいですね。

 

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参考:IoT情報流通市場「EverySense」ローンチカスタマー20社発表|エブリセンスジャパン株式会社のプレスリリース

この図では、上で出てきた、「クラウドソース」という言葉が登場しません。実は、データの売買の当事者だけでなく、もう一種類のプレイヤーが存在します。それは、データを解析・加工するような専門家や企業(サードパーティ)です。「データを買いたい!」という企業を増やす為には、その企業がデータを活用できるようにしてあげる必要があります。IoT立ち上げのタイミングで整備が進んでいない企業をこの市場に参加させる為には、そのようなサポートが必要です。そして、そのような企業の参加が遅れれば遅れるほど、データを売りたい企業にとっては、機会損失が生じる期間が長くなる為、プラットフォーマーはこのようなサードパーティと連携可能なエコシステムを築き上げることが絶対に必要なのです。

IoTにおける、データの議論 「企業が集めたデータは誰のものか」

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上の図の左側で、「ヘルスケアデータ」、「車から得られるデータ」、「位置情報」、これらは「私達、消費者の身体や行動に関するデータ」が含まれます。テクノロジー業界ではながらく、「これらは誰のものか」という議論がされています。特にIoTが注目を集め始めてから議論が活発化しています。その理由は、既に何度もお話ししたとおり、「収集可能な範囲が増えること」、「複数のデータを解析することで、これまでよりも分かってしまうことが多い」のです。

例えばスマートホーム(家庭内に設置されるIoTデバイス)とヘルスケア(身体に付けるIoTデバイス)の情報を組み合わせたら、何がわかるでしょうか。

「この人は夜9時に帰ってきて、パスタを食べることが多いが、10時頃には血糖値が上がって、思考力や集中力が低下しているタイミングが多い」というような事までわかってしまうのです。もし、この人物が国家や企業の意思決定を行う要人であればどのようなリスクがあるでしょうか。そして、この人物が一般人であっても、セールスをしたい企業にとっては有用でしょう。ターゲティング広告(趣味嗜好によって表示される広告が変わる)なども活用したいデータでしょう。悪用も可能です。

こんな話を聞くと、消費者にとっては「気持ち悪いし怖いから収集されたくない」となってしまいます。しかし、そうなってしまっては、爆発的な経済の起爆剤になるIoTの発展が遅れてしまいます。そこで、この問題に対して問題提議と解決策の提案を行ってきたのがMIT所属するペントランドという人物で、彼は『データのニューディール政策』というものを2008年に提唱しました。その内容は以下のようなものです。

 

1.You have a right to possess your data. Companies should adopt the role of a Swiss bank account for your data.You open an account (anonymously,if possible), and you can remove your data whenever you’d like.(データの所有権は一般の個人に帰属する)

2.You, the data owner, must have full control over the use of your data. If you’re not happy with the way a company uses your data, you can remove it.All of it. Everything must be opt-in, and not only clearly explained in plain language, but with regular reminders that you have the option to opt out.

(データの使用や削除は提供する一般の個人がコントロールできる)

3.You have a right to dispose or distribute your data. If you want to destroy it or remove it and redeploy it elsewhere, it is your call.

(データの破棄も共有も一般の個人がコントロールできる)

参考:Toward a New Deal On Data 

 ペントランド氏は、一般のユーザーが「気持ち悪い」という感情を確かに持っている事、そして、それは健全なテクノロジー(IoT)の世界の発展を妨げる事を考慮し、データの所有権は個人に帰属し、フルコントロールできるようにすることを提唱しています。

彼曰く、「『もはやプライバシーなど存在しない』という考えは、明らかに間違っている」のです。

これには、産業会からは反対意見があるそうですが、現在の「とても細かい字でよくわからない専門用語が並んだ利用規約に同意する形式」はとても健全とは言えないでしょう。 

ペントランド氏は『オープンPDS(パーソナルデータストア )』という仕組みを使って、データの所有権が完全に個人に帰属した場合にどのような変化が起こるのか、イタリアのトレントで実験を行っています。その結果は「安心と信頼により、ユーザーはよりデータを共有し始める」というものだったそうです。この実験はテレコム・イタリアなどと共同で行っています。ユーザーがデータを共有することに同意しない、もしくはセンサーが付いたデバイスやサービスの利用を拒否することは、IoTを推し進めたい企業や国家にとっては大きなマイナスになります。

昨今、国家によるスマートフォンや通信へのアクセスについて議論がよく盛り上がりますが、データの所有権をユーザーにというのは、然るべきムーヴメントなのかもしれません。

IoTにおける、新しい専門家の必要性 データ専門弁護士 データデザイナー

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画像:ABA Law Practice Today 

データに関連して新しい専門家の必要性が叫ばれています。まずは、よく登場するデータ解析のスペシャリストである、『データサイエンティスト』なのですが。あと2種類、ここまでお話してきた内容に関連して必要な専門家がいます。

まずは『データ専門の弁護士』です。ここまで述べてきた、セキュリティやデータの売買、そしてデータの帰属権に関して、これまでにはなかった類いの訴訟や、契約関係の整理、同意形成の必要性など、様々な法律×データに関する争いや業務が増えると言われています。企業はこの類いのデータ専門の弁護士や法律のスペシャリストと密な連携もしくは雇用する必要性があり、そうでなければ、膨大なリスクを抱えてしまいます。全てが繋がりデータがやり取りされるIoTの世界では、リスクも広く深くなるのです。データの漏洩に関する賠償はクオカード500円では済まなくなるでしょう。

 

そして、前回お話した、企業の中でIoTとデータを活用する為に解析されたデータを言語やデザインで翻訳する『データデザイナー』的な人材も必要になります。これは、データソリューションを提供する企業が担う可能性もありますが、企業の中においても理解できる人物がマネージメントを担う事でオペレーションにおけるIoTベースの業務、つまりデータ・ドリブンなオペレーションの成否を分けます。下の画像は農家にIoTソリューションを提供するオンファーム社が提供するダッシュボード(必要なデータを一目で確認できる画面)のユーザーインターフェースです。機器に付帯するセンサーから集まったデータはこのように、理解可能な形に翻訳される必要があるのです。このデザインをデータサイエンティストと連携し業務に落とし込める専門家がこれまでよりも多く必要になります。

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参考:オンファーム社

本日は以上です。次回は『IoTができる4つのコト。その特徴を言葉から捉える』というテーマでお話ししたいと思います。

 

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