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IoT(モノのインターネット)最大の課題、ビッグデータについて<パート1> IoTにおけるデータの役割とそのポテンシャル。ビッグデータ活用のハードルを解説。

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IoT(Internet of Things)におけるデータは最大の課題であり最大のポテンシャルを持つ

前回の記事では、IoT(Internet of Things)のイメージを持って頂く為に、「働いている人にとってはIoTってどんなとこがポイントなの?」というお話しをしました。すべてを語り尽る事は不可能なぐらい、幅広く大きな影響が出るIoTについて、少し理解やワクワク感がお伝えできていれば幸いです。

そして、今回のテーマは『データ』です。すべての"モノ"(デバイス)がインターネットに繋がり、その"モノ"に付いているセンサー(ジャイロセンサー、光学センサー、音センサーなど)から集めれる膨大なデータはその桁や単位効いてもイメージできないほどのサイズです。そのサイズカバレッジ(データを取得する範囲)故に、『ビッグデータ』と呼ばれ、これは一種のバズワードになりました。しかし、IoTもビッグデータも一時の流行語ではなく、今後スタンダードな存在になります。そのデータについて、本日の記事と次回の記事では、以下の内容についてお話しします。今回は太字部分を。

  • IoTにおける、データの役割とは すべての起点になるセンシングとフィードバック
  • IoTにおいて、ビッグデータが大きなポテンシャルを持つ理由
  • IoTにおける、ビッグデータ活用の現状とプレイヤー(新旧融合)
  • IoTにおける、ビッグデータ活用のハードルがなぜ高いのか① 企業の準備
  • IoTにおける、ビッグデータ活用のハードルがなぜ高いのか② 標準化
  • IoTにおけるビッグデータ活用のハードルがなぜ高いのか③ プラットフォーム
  • IoTにおける、データ流通プラットフォームやマーケットの役割
  • IoTにおける、データの議論 「企業が集めたデータは誰のものか」
  • IoTにおける、新しい専門家の必要性 データ専門弁護士 データデザイナー

IoTにおける、データの役割とは すべての起点になるセンシングとフィードバック

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画像:Discovering Identity 

IoTにおいて、データとは価値を形成する為に必要な基盤になります。IoT時代における"モノ"とは以下の3つを必ず備えます。これはIoT時代の"モノ"の基本です。

  • センサー:情報を捉える
  • コンピューター:情報を処理する
  • 通信モジュール:情報を送る

これまでの"モノ"は必ずしも、この3つを備えていたわけではないのです。例えば、現在のトイレには1つもついていませんが、これからのトイレはこの3つが付き、「センサーで状態を捉え、送れる状態に整え、クラウドに送信し、分析の結果、健康状態をユーザーにフィードバックする」ということが実現します。この流れはIoTの基本の流れになります。

※注:例えがトイレなのは、たまたま私が今トイレに行きたいのを我慢して本稿を執筆しているからです。以降、「うんち」という言葉を使い、例示において多数登場する可能性があることに、ご了承頂ける場合のみ、読み進めてください。

 

 この"クラウドに送信"までの3つのどれが欠けてもIoTは成立しません。その次のステップである、"分析""フィードバック" できないのです。このうんちをセンサーで状態を捉えること、"センシング"といいます。そして、得たデータを分析し役に立つ情報やアドバイスユーザーに返すことを"フィードバック"、といいます。

本件で言えば、センシング:「今日は硬いね」→フィードバック:「繊維のある食べ物を食べよう」だったり、センシング:「最近、黒いね」→フィードバック:「胃にピロリ菌がいる可能性があるから検査しよう」となるわけです。※うんちが

 

このフィードバックにおいては、膨大なデータが収集できることが、分析の正確性向上や新しい知見の発見に繋がるわけなのですが、このセンサーなくして成立しません。センサーがなく、有用なフィードバックがなければ、ユーザーはトイレをインターネットに繋ぐことはしないですし、うんちのデータも提供しないでしょう。このセンサーの有無とその質はとてもとても重要なのです。

また、通信モジュールについては、能動的にインターネットに繋がないとデータが収集できない状態はIoTではありません。常時繋がっていることが重要なのです。これからのモノにはこの3種の神器に加えて様々なモノが搭載されます。例えば、ディスプレイがあるものは、「今日のうんちは硬いね、繊維のある食べ物を、宅配で頼めるウェブサイトとそのメニューはコチラ。到着までの時間は現在だと15分です」というようなことができます。これは、モノがインターネットに常に繋がっているから可能なのです。

※注:ちなみにうんちが硬い時に本当に繊維のあるものを食べるのがいいかは、これからトイレがIoT化し、たくさんの人がこのサービス(まだないですが)を利用することによってわかっていくでしょう。(筆者予測)

IoTにおいて、ビッグデータが大きなポテンシャルを持つ理由

前回の記事にも書いた通り、"モノ"がインターネットに常に繋がっていて(コネクテッド)データを集め活用することにより、「新しい形態のサービスを提供する」「予測に先回した能動的なサポートを提供する」「遠隔で制御し最適化する」というようなことが可能になります。これらは"自社で"のデータ活用です。自社のサービスを向上させ、競合に優る為に、コアコンピタンス(競争優位の源泉)を築くのです。

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画像:EngineersGarage もうある・・・?

上記のうんちの例でいけば、例えば、例えばですよ!TOTOが「コネクテッドトイレ」をリリースし、"うんち分析サービス"をはじめれば、それは新しいサービスで顧客にプラスの価値を提供します。そして、ユーザーに同意をとった上で、医療系のサービスと連携し、「あなたのうんちのデータを日々分析した結果、統計的にこのまま行くと、来週あなたは痔になります」というアドバイスをすることもできるでしょう。全国のトイレから送られた膨大なうんちのデータを医療機関にある痔の患者と結びつける事で、実現可能になるのです。これはINAXとの競争において大きな競争優位を生み出します。僕はTOTOを選び2度と離れないでしょう。

これだけでもスゴいのですが、これだけではないのが、IoT時代におけるデータのビジネスポテンシャルです。同時に大きな課題を生み出します。この膨大なうんちのデータ欲しいのは、TOTOだけではありません。大学や政府系の研究機関、製薬会社など、医療やヘルスケア分野のプレイヤーも欲しがるでしょう。マニアもいるかもしれません。そう、「集めたデータを売れる」のです。

自社活用だけでなく、更に売れるとなれば、多くの企業が"モノ"を"Connected"にする為にIoT投資を行うインセンティブになります。特に電力会社やタクシー会社、鉄道会社等々、膨大なデータを収集する機会がある企業にとってはとても重要なビジネスチャンスになります。1億人が1日2回のうんち、つまり2億件の人間の代謝データが集まるTOTOも大きなビジネスチャンスになるでしょう。

※注:筆者の勝手な意見であり、TOTO社への投資を促すものではありません。

IoTにおける、ビッグデータ活用の現状とプレイヤー 新旧融合が起きる

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画像:Caterpillar

では実際にこのデータはIoT時代に差し掛かる現在までにどれほど活かされていたのでしょう。その答えはほぼゼロに近い数%です。マッキンゼーのデータによるとオイルの採掘場では30,000のセンサーが設置されているが、活用されているのは1%だそうです。

Currently, most IoT data are not used. For example, on an oil rig that has 30,000 sensors, only 1 percent of the data are examined. That’s because this information is used mostly to detect and control anomalies

参考Unlocking the potential of the Internet of Things | McKinsey & Company

※注:突然、うんちからマッキンゼーになりましたが、マッキンゼー社の記事や例示にはうんちは登場しません。

 

IoTの導入支援とビッグデータ解析事業を提供するアメリカのスタートアップ企業であるUptake Technologies(アップテイク・テクノロジーズ)も同じく、「鉄道などのメジャーインダストリーには既に大量の有効活用なセンサーが設置されているが、99%は有効に活用されていない」としています。

More than 99% of operational data collected from modern equipment goes to waste.

参考:Uptake Technologies(アップテイク・テクノロジーズ)

 

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画像:Chicago Inno

実はこのUptake社、まだ設立されて2年ばかりの新興企業です。しかし、その企業評価額は10億ドルを超えるユニコーン企業です。秘密主義なUptakeなのですが、公開されているパートナーの1社は、年商550億ドルを誇るキャタピラー社です。とても歴史のあるレガシーな企業です。これらのレガシーなメジャーインダストリーの企業はデータの宝庫です。センサーやデータ解析などに投資する体力もあります。しかし、データ解析やデータを企業のビジネスモデルやオペレーション改革に活かす専門家はいません。

一方、Uptakeのようなデータ解析を得意とするテクノロジー企業は、「データの量と利活用の場」を求めているのです。このような新旧融合の例はこれからも増えるでしょう。特に、後述する、「データを流通させる、マーケットやプラットフォーム」を通して、その融合や協業は行われます。うんちのデータを持つトイレ企業とデータ解析企業が連携するのです。これがIoT時代のコラボレーションです。

IoTにおける、ビッグデータ活用のハードルがなぜ高いのか① 企業の準備

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ここまで説明してきた通り、IoT時代のビッグデータ活用にはとてもポテンシャルがあります。しかし、企業が実際に実行し、効果を出すとなるとかなり大変です。その理由は4つあります。

  1. セキュリティ
  2. データ系人材の不足
  3. 社内の意識改革
  4. グローバルルールの整備

1つずつ説明していきます。本ブログでは各要素について、あまり詳細な解説は致しません。

セキュリティ

まずはなんと言ってもセキュリティです。世界でIoTの普及に取り組むプレイヤーが揃ってセキュリティが課題であることを口にします。なぜセキュリティが課題になるのか、それは「コネクテッドになるモノがあまりに多く、攻撃対象になる数が多すぎる」こと「すべてが繋がっている事により、侵入された時のリスクが広範囲」で、「扱うデータの機密性や活用されている領域によっては甚大な被害が出る」ことが理由です。

とても便利になるポテンシャルを秘める一方、悪用される時は負のポテンシャルも大きいのです。先日もアメリカでインターネットが広範囲でダウンする攻撃がありましたが、これもネットに繋がった監視カメラが入り口だったと言われています。このような、大きなリスクがある場合、どうしても企業の意思決定者は躊躇します。IoTに取り組まないこと自体が大きなリスクですが、乗り越えるべき壁は大きいのです。

データ系人材の不足

次に、よく言われる「データ系人材の不足」です。主に"データサイエンティスト"と呼ばれる分析に長けた人材なのですが、それだけではありません。分析の後には活用が控えています。この活用の際に「ただ数字を見せられただけ」では、その数字の意味や意図は伝わりません。人々に伝え、動かす、"デザイン"が必要なのです。このサイエンティストと協働してオペレーション改革ができる、データ×デザインの人材も不足しています。そして、既に述べたセキュリティ系の人材もこれからはニーズが高まります。特にハッカーがAIを使ったハッキング攻撃を行えるようになると、ハッキングを防ぐ為のAIを開発するセキュリティエンジニアも必要になるでしょう。

社内の意識改革

社内で働く人たちの意識改革が必要です。IoT時代には仕事の仕方が大きく異るのです。前回の記事でも書いたような、「部門やプロセスを大きく跨いだ開発やサーポート」が必要になるのです。そして、セキュリティへの意識もより必要になります。ポリシー違反の自分のデバイスを業務に持ち込んだり、私用のメールアドレスを公務に使ったりすることで、「原子力発電所にアタックされた」のような可能性が、これまでよりも一層高まるのです。

ここまでは、よくある話なのですが、特に必要な意識の改革は「データベースドな判断」ができる組織になる必要があります。すでに述べたデータサイエンティストやデザイナーは大きい次元でのデータの分析や、大きなルール(オペレーションデザイン)を定義しますが、更に細分化された業務の中でも、「訳された共通のデータと共通のルールに基づいて判断を行わないとチグハグになり、効果が最大化されない」のです。

これを文化として浸透させるのは大変です。人間の判断にはどうしてもバラツキが出たり、遅延が発生します。人間の限界を回避し、IoTのリアルタイム性を最大限活かす為にAIを使って人間を出来る限り、苦手な領域から排除する動きもこれから進むでしょう。

グローバルルールの整備

これは企業が乗り越えるべき課題というよりも、企業の準備を遅らせる要因です。ルールがないところでは、手探りですすめるしかありません。IoTはまだまだ未整備な部分が多いのです。

センサーから集まった膨大なデータが世界を行き交う中で、IoTのインパクトを最大化するために必要なのは、「データの方式や通信方法などのルール」です。とにかく、スムーズにデータをやり取りする為にはこれが欠かせないのです。

例えば、身近な例でも旧式のエクセル→最新のエクセルが起こす対応フォーマットの修正などにより、不毛な時間を取られた経験はあるでしょう。これは、リアルタイムな制御や最適化を狙うIoTの世界では必ず乗り越えないといけない壁なのです。

この標準化は覇権争いでもあります。企業や国家間でどのフォーマットや方式が覇権を握るのかは協力もありつつも熾烈です。以前、イギリスのEU離脱とIoTの関係については、インダストリー4.0(IoTを使った第四次産業革命)を主導するドイツとの関係悪化だと本ブログで書きましたが、ルール策定は大きな経済的利益の行方を占うので、必ず政治が絡み、長期化するのです。IoTの普及がさらに進むためには、標準化を含めたルールの策定(グローバルな)をとっとと済ませる必要があるのですが、まだ時間は掛かると言われています。

 

本日は以上です。

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