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セラノスのCEOエリザベス・ホームズ 2年間の関与禁止が決定 評価額9000億円のユニコーンの今後は?

www.theguardian.com

疑惑のバイオ系ベンチャーのセラノスのペナルティがついに決定

「指先から1滴の血液を採取するだけで安価に血液検査が受けられる、医療へのアクセスを誰にでもアベイラブルにする」と素晴らしいビジョンを持ち、9000億円の評価額を受けていた、米国のバイオ系ベンチャー、セラノス(Theranos)について米国当局(Centers for Medicare and Medicaid Services=通称CMS)が調査を進めていましたが、その処分の内容が決定したようです。CMSは米国で臨床試験をする研究所(以下、ラボ)を規制していて、ラボの運営許可もここが出しています。今回はセラノスに対してではなく、エリザベス・ホームズ個人に対して、"ラボの所有及び運営を2年間禁止する"という処分を決定しました、この他にも公開されていないですが、金銭的なペナルティも課されたようです。

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今年の5月(2016年)に、セラノスは過去2年間に扱った血液検査を破棄すると発表し、これは"患者をリスクにさらす行為"としてとてつもない避難を浴びていました。案の定、セラノスは最大のパートナーであったウォールグリーン(米国最大規模のドラッグストアチェーン)を失い(先月)、Forbesはエリザベス・ホームズの保有資産の価値をゼロと見積、会社とエリザベス・ホームズの評価は失墜しました。

セラノスの継続の為にホームズが会社を去ることは避けられないでしょう。依然として手持ち資金は潤沢と言われていますが、売上減から大量の解雇は避けられず、また株主からの訴訟リスクも抱えています。今回の処分はとても重く珍しい物であり、果たしてホームズが業界に戻ってこれるのか、という声も上がっています。

渦中のホームズは8月にイベントでプレゼンテーションを行う予定

渦中のエリザベス・ホームズは騒動後メディアの前に姿を表していませんが、今年の8月1日に行われる、AACC(American Association for Clinical Chemistry’s annual meeting)のカンファレンスに登壇する予定だそうです。プレゼンテーションでセラノスの技術について語り、なんとQAセッションも設けられているそうです。

 

「このタイミングで何故!?」という声もありますが、個人的にはセラノスを継続させる為に希望を残すチャンスとして捉えているのではないかと思っています。逆にここで少しの希望も残せないようであれば、今すでに起こされている訴訟に加え、株主からの訴訟や刑事告訴という、悪夢のシナリオが加速する気がしています。

 

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www.discoveriesinhealthpolicy.com

 

セラノスが9000億円の評価額を受けていた理由は、ナノテイナー(血液を採取し格納する小型容器)とエディソン(検査機器)が理由です。その技術についてはこれまで表に出されておらず、科学的な裏付けに乏しいと批判を受けることがありました。これが本当にディスラプトなテクノロジーなのであれば(もしくはその可能性が高い)フェアにオープンにすることが求められている気がします。オープンにしないのであれば、この騒動はますます燃えるでしょうし、技術的な裏付けが十分にないのであれば詐欺です。ここまで炎上しているのに、公開が十分でないと言われているのをみるとかなり苦しいのではないかと思っています。

大きな期待からの墜落 未公開企業の評価額の罠

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個人的にセラノスにはすごく期待していました。血液検査ってとんでもなくダルい。わざわざ病院に行って、受付と待ち時間で30分ぐらい、痛い針を刺されて、検査結果が出るのにも時間が掛かるし、結果も病院まで行くか、電話で聞くか、手紙を待つか。定期的に受けることにより、予防や安心感も得られるのにコスト(お金も労力も)が高い。

 

簡単に採取できて、結果をすぐ知ることができて、コストも安い。もしこれが実現できたら、すでに血液検査を定期的に受けないと行けない人の負担削減や、そうでない人も健康に対する意識を上げられる気がします。例えば、「コンビニで出して、スマホで結果を受け取れて、保険適用で1,000円」みたいな感じになればいいなと。スマホで結果を受け取れれば、過去のデータも閲覧しやすいし、新しく受診したドクターに過去のデータを共有するのも簡単ですし、オンラインで健康に関するコンサル(食事や運動)も受けやすくなりますよね。

 

こういう僕みたいな期待を抱いていた人は多いはずです。だからこそ、エリザベス・ホームズは期待され賞賛され、会社の評価額もうなぎ登りだった訳です。ユニコーンの評価額については最近色々言われています。「バブルだ」、「評価額が実態からかけ離れすぎてIPOができない」などのものです。個人的にも改めて、未公開企業の評価額って恣意的だし不安定な"ある種の危ないモノ"だなと感じます。決めるのは誰かと言うと、株式を売り出す会社のCEO自らだったり、反対にDDするVCや証券会社の担当者だったり利害関係者なわけです。そして、何に基いて評価をするかと言うと、その技術や将来性に関するプレゼンだったりするわけです。

 

成長著しいベンチャーの場合はその時点の売上や利益に基いて評価をすることが適切ではないから、このような評価がされるわけですが、むやみやたらに「ユニコーン」、「評価額◯億ドル!」という持ち上げ方はよくないなと自戒を込めて。そんなUnstableなモノでセラノスを信用して血液検査を受けた人もいるでしょうし、多額のボーナスを受け取ったVCの担当者もいるでしょうし、エリザベス・ホームズ含めセラノスを後に引けないポジションに追いやってしまったのかもしれません。

 

セラノスとエリザベス・ホームズについては映画化されるそうですね。

ジェニファー・ローレンスとアダム・マッケイ、セラノス(Theranos)創設者の映画を製作 | ガジェット通信

 

参考記事:

Theranos CEO’s 2-Year Ban Leaves Few Options to Save Startup - Bloomberg

Theranos Dealt Sharp Blow as Elizabeth Holmes Is Banned From Operating Labs - WSJ

 

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