「常識を疑え」シリコンバレーの投資家のピーター・ティールが卒業生に語る
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熱くさせられたピーター・ティールのスピーチ
アンドリーセン・ホロウィッツのベン・ホロウィッツの『HARD THINGS(ハードシングス)』、ピーターティールの『ZERO to ONE(ゼロトゥワン)』など、ここ何年か、シリコンバレーの起業家や投資家が著した書籍が話題になりました。
ピーターティールは、イーロン・マスクらと共に、アメリカの決済企業ペイパルを創業したアメリカ・シリコンバレーのテクノロジー起業家・投資家です。データテクノロジーカンパニーのパランティアも彼の企業です。FaceBookに最初に投資した外部投資家としても知られています。
著書『ゼロトゥワン』では、「世界を変えるイノベーションをどのように生み出すか」を書っています。リーンスタートアップなど当時のシリコンバレーで信じられていた成功法則や常識を大胆に否定しています。彼がスモールIPOやM&AなどによるEXITなどではなく、ディスラプティブなイノベーションによる圧倒的優位性を追い求めるのは、本の背表紙にもなった以下のtwitterを揶揄した発言からも強く感じ取れます。
"空飛ぶ車が欲しかったのに、
手にしたのは140 文字だ"ピーター・ティール
今回はハミルトン大学の卒業式のスピーチにて、卒業生に向けてキャリアに関するアドバイスをしています。
本の内容やティールについては、以下の記事で詳しく記載されています。リンク先の記事でもティールの過去のキャリア選択の失敗や競争に敗れた経験についてご説明がありますが、今回のスピーチでもティール自信そのことに触れ、その後の成功体験から振り返って重要だと思うことを語っています。
「自分を偽らないこと、そして、今日は人生最後の日ではなく、今日が未来を作る」
以下、スピーチの要約です。
「私は元々弁護士志望だった。弁護士が何をしているのかもよく知らなかったが、とにかく敷いたレールを走っていた」
「そのレール上にある、難しい同じようなテストをいくつもパスして、名門法律事務所に入った。しかし、そこは不思議な場所だった、外からは誰もが入りたがり、中からは誰もが出たがる。同僚は驚いたが、7ヶ月と3日で辞めた。」
「そして、若い弁護士としては最高のキャリアである、最高裁判所のポジションに応募したんだ。それはいわばそれまでずっと続いてきた、長い競争における最後の競争。そして敗れた。」
「振り返ると、弁護士になるという野望は、プランと呼べるものではなく、いわば現在へのアリバイみたいなものだった。家族や友人、そして自分さえも、レールにちゃんと乗っていると思い込ませることができるような。」
「1番問題だったのは、そのレールの先に何があるのか、私自身が深く考えていなかったことだ」
「ペイパルでの挑戦は壮大な夢を掲げたものだった。メンバーは若かったし、金融業界に挑むというのはとにかく無謀で非常識に見えたようだ」
「多くの人が不可能だと言っていた難しいことが、不可能から遠く離れて実際に実現可能だったことがこの挑戦でわかった」
「これから述べることは、教育が無意味であるというようなことではない。しかしこれだけ環境挑戦できる整っているのだから外に出て、親や教師が不可能だと言ったことに挑戦するべきだ」
「アイザック・ニュートンもベーコンも誰も教えてくれなかったことをした、このアメリカ大陸を発見した人たちも新しいモノを追い求め続けた人たちだ」
「現代は変化が早い時代だと言われているが、実は停滞していると言われている。スマートフォンなどは進化しているが、それ以外は大して進化していない」
「アメリカは決まり文句のようにDevelopedな国と言われるが、未だDevelopingだし、そうあるべきだ。アメリカの進化は止まり、他の国に追いつかれるのを待つというような事は間違いで、その誘惑に負けてはダメだ」
「停滞を呼ぶような、決まり文句や常識はどこにでもある、時として正しいが、往々にして、無意味に正当化されている」
「2つの大事なことによって、これを私に終わらせて欲しい」
「ひとつ目、自分を偽ってはいけないということ。これはシェイクスピアから学べる。2つのレッスンがあり、で、まずは自分さえも疑うということだ。私のようにただ競争に魅せられているだけかもしれない。盲目的にならず、自分を律し、自分で洗練させないといけない。次に、助言にも懐疑的になるということだ。例え年上からだとしても。ハムレットのポロニウスも父親としてよく娘に語りかけていたが彼のアドバイスは酷いものだった」
「ふたつ目は、今日が最後の日であるかのように生きるのではなく、その真逆を行くことだ。周囲の人を、まるで彼らがとても長い間一緒にいるとして扱うことだ。今日の行いが、複利のように未来の結実をより大きなものにする。今日の行いが、良い人間関係を友人たちと構築し、未来に渡って複利で恩恵を生み出すのだ。」