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IPO(上場)ができない。ユニコーンバブルの崩壊。ベンチャーに冬の時代は来るのか。

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IC : vec.or.jp

 
ユニコーン企業がその投資の大きさと、高いバリュエーションの通り、本当に順調なら、IPO(上場)がもっと多くてもいいはず。2016年に突入してからアメリカのテック系企業のIPOが極端に減っているようです。ユニコーン企業に投資している投資家やファンドは、IPOなり売却なり早くエグジットしたいはず。でも、実はしたくてもできないんです。
 
アメリカでは昨年11月、決済のスクエアがIPO前の最後の資金調達でのバリュエーションを下回る価格で上場しています。このようなIPOがあると当然に不安が生まれ、躊躇します。VCはLPや投資家からお金を預っているわけですから。そのまま公開市場の環境がよくなる時を待つことができればいいんですが、それが難しいのが私的な問題点というか危ないと思う点です。
 
参考、引用元
 
ユニコーンとは未公開で企業価値が1億ドル以上の企業です。このユニコーンが急激に増えています。このユニコーンブームはテックバブルの再来であるとか、今回はITの確固たる産業基盤が実態としてできているのでバブルではないとか様々に言われていましたが、2016年になってから、これはバブルであり、その崩壊を主張する意見が増えています。
 
The accounting firm has data to back up its claim: Venture capital funding slowed to $11.3 billion in the fourth quarter of 2015, down 32% from the third quarter, according to the PwC/NVCA MoneyTree Report. The VC funding in the third quarter could prove to be the peak of the current tech boom, with the highest level of venture funding in 20 years.
PwCのレポートによると、VCの投資は2015年の第三四半期にこの20年のピークを迎え、第四四半期には32%減少しているそうです。
 
 

In late 2015, many public technology companies saw a significant retrenchment in their share prices primarily as a result of a reduction in valuation multiples. A high performing, high-growth SAAS company that may have been worth 10 or more times revenue was suddenly worth 4-7 times revenue. The same thing happened to many Internet stocks.  

テックやインターネット系の公開企業の株価がマルチプルベースで10倍から4-7倍に落ちています。"retrenchment"はコストカットのことで、解雇も含みます。2015末から2016の初頭でGoproもtwitterなども解雇を行っています。
 
Late 2015 also brought the arrival of “mutual fund markdowns.” Many Unicorns had taken private fundraising dollars from mutual funds. These mutual funds “mark-to-market” every day, and fund managers are compensated periodically on this performance. As a result, most firms have independent internal groups that periodically analyze valuations. With the public markets down, these groups began writing down Unicorn valuations.  
mutual fundというのは投資信託会社のことです。彼らが公開市場のテック銘柄の価値下落に呼応してバリュエーションを下げ始めたそうです。投資信託は1年ごとやクォーターなどの期間ごとに投資成績の評価を行っており、ユニコーンなどの未公開企業に投資をしている場合、都度バリュエーションを行い、投下した資金が増えたのか減ったのかを判断しファンドマネジャーのボーナスが決まったりします。【何故か】上がり続けると信じられていたユニコーン銘柄がついに下がり始めました。
 
Fidelity lowered the value of its stake in photo-sharing app Snapchat by 25% in the third quarter, according to research firm Morningstar. 
フィディリティは昨年の第三四半期にスナップチャットのバリュエーションを25パーセント下げています。2015年5月のバリュエーションが16億ドルなので、その25パーセントだと日本円で約4000億円に相当します。売上がほとんどない企業が1.6兆円の企業価値ってのもなかなかクレイジーですよね。楽天、リクルート、電通ぐらいの時価総額。
 
In Silicon Valley boardrooms, where “growth at all costs” had been the mantra for many years...." 
シリコンバレーを中心としたテック界隈では、『何よりも成長が大切』と考えられ、安い資本調達コストを背景に多くの投資がされました。Facebookのようにプラットフォームを創造し競争を制した者が全てを手に入れる、Winner Takes Allの発想で、とにかく他社より早くユーザーを囲い込むことが重要と考え、例えユーザーが1円もお金を落としてくれない状況でも、将来のリターンに賭け獲得コストを支出し続ける、サービスを拡充し続ける、とにかく成長をし続けるよう行動する。これが市場環境の悪化で、一気に危ない状況を生み出します。このブログでも取り上げた、C2Cのマーケットプレースを提供するOfferUPも売上ゼロの状態で資本調達を繰り返し1億ドルの評価をされています。
 
調達した資金は売上に直ちに結びつくことなく、開発や高騰するエンジニアの人材確保、マーケティングコストをなどで燃え続けます。そして、資金は燃え続けているにも関わらず、会社は成長し大きくなり続けているので燃えるペースがどんどん早くなります。※バーンレートの上昇
 
追加の資本が投下され続ける間はいいですが、ユニコーン投資への不安が高まると、追加の投資は止まります。そうなった時はもう創造に容易いのですが、大きいフライパンで油なしで空焼きしたような状態です。香ばしい匂いから火事に。既存株主はエグジットできない、追加資本が必要だが出してが少ないので、どうしてもバリュエーションが下がる調達はし辛い、キャッシュを自社で作ろうと売上を立てようとするとユーザーが離れていくのが怖いと、八方塞りに陥りやすい
 
過去に資金難に陥ったが乗り越えたテスラやスペースXのように本当に価値のあるサービスや技術への投資は止まらず、ダメでも事業売却などが可能でしょうが、技術的に圧倒的な優位性がなかったり、コストを上回る売上に結びつかない状態でお金でユーザーを買って成長していた企業などは、生きる術をなくし、大量の従業員と立派なオフィス、投資していたVCの大損失とともに廃業を余儀なくされ。。。
 
以下の記事では、スタートアップのステロイド的な資金の使い方をする時代は終わり、資本コストが上がり、追加資金が投下されない環境の中で、利益やフリーキャッシュフローを生み出せないスタートアップはどんどん死んでいくという内容が語られています。
 
引用、参考元
 
スタートアップはリスク(不確実性)の高い投資でバリュエーションが難しいのはわかるのですが、バリュエーションが特定の誰かの利益の為に恣意的になると危険ですよね。シンプルな価値評価の考え方は投下した資本に対してのリターンだと思いますが、売上利益ともに生み出していない状態だと、マルチプルで利益の10倍が企業価値みたいな考え方もできません。実態からかけ離やすいです。リーマンショックを引き起こしたサブプライムローン問題では、『証券会社がゴミの中から比較的良いゴミをピックアップして1つのゴミにして、社会的な信用がある機関がお墨付きを与えて無理矢理に価値をつけて売る』事が行われバブルになりましたが、このユニコーンバブルでも、ファンドマネジャーのボーナスがターム毎に恣意的に評価された企業価値の上昇に基づくならスタートアップに投資するのが自然でしょうし、スタートアップの場合、投資家だけじゃなく創業者も授業員も自社株やストックオプションを保有しているので、実態からかけ離れたバリュエーションをれても歓迎しがちになるのもわかります。
 
個人的にユニコーンで危ないと思うのはシェリングエコノミー関連の銘柄だと思ってます。資本主義なので淘汰されるのは当たり前なのですが、バブル→崩壊という大きな痛みを負わずに、堅実に成長すればいいのですが、やはりまた繰り返されるようです。
 
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