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IoTとコネクテッドな次世代自動車。モータリゼーション2.0で目指す未来のカーライフ。現在の自動車社会の課題。

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目次

クイックに数字で見る現在の自動車社会の課題

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画像:多すぎる車

 

国内の自動車の稼働率はたったの2.8%

参考:創業2年、社員2人で4つのウェブサービス立ち上げ:日経ビジネスオンライン

日本には2014年に7,600万台の車があり、年間600万台販売されている

参考:JAMA - 小学生のためのよくわかる自動車百科 

日本の交通事故死者数は2015年に4.117人 事故は50万件ある
参考:【図解・社会】交通事故死者数の推移:時事ドットコム

アメリカでは交通事故の原因の94%がヒューマンエラーによるもので、毎年120万件の人身事故が起きている

参考:Chris Urmson: How a driverless car sees the road - YouTube

世界では年間130万人、1日4,000人弱が交通事故で亡くなっている
参考:Road Crash Statistics

自動車等の移動手段によって排出される温室効果ガスは全体の約26%
参考:Sources of Greenhouse Gas Emissions | Greenhouse Gas (GHG) Emissions | US EPA

アメリカで人々は渋滞の中で年に70億時間を過ごしている、その間にもCO2が排出されている
参考:トラビス・カラニック: 車利用を劇的に効率化するUberのプラン | TED Talk Subtitles and Transcript | TED.com

 

現在の自動車の原型は1900年頃に発明されました。それから100年以上が経過し、人類と車には先ほど書いたような課題が存在しています。

上にまとめて書いた通り、あまりに非効率で、ナンセンスで、環境にも負担が大きいのが、現在の我々の車社会なのです。

このことから、自動車は最新のテクノロジーを用いて、再発明される必要があると広く考えられています。

これはFuturistic Carと呼ばれたり、Mortalization2.0と呼ばれたり、様々な呼び方があり、従来の自動車メーカーのみならず、IT企業もプレイヤーとして参加し、次世代の自動車のディファクトスタンダードを狙うべく、しのぎを削っています。

 

自動車関連でイノベーションを起こそうとしているプレイヤーが取り組む領域は多岐に渡ります。主に3つです。自動運転車ライド(乗車)需給の調整自動運転普及後のサービス、の3つです。


実は、この自動車の再発明を担う技術は、「まさにIoTの関連技術」なのです。本稿では特に自動運転やライド需給の調整の解説、そしてこれらの最新の動向を紹介しながらIoTの更なる理解に繋がればと思います。

米国 Uber(ウーバー)社:交通の変革を狙う現時点のIoTの最大の勝者

Uber(ウーバー)とは

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Uber(ウーバー)はアメリカのサンフランシスコに本社を構える、Uberテクノロジーズが提供するライドシェアサービスです。CEOを務めるトラビス・カラクニック氏がかつてサンフランシスコで「全然タクシーが捕まらない、捕まっても粗悪な車に態度が悪いドライバーという最悪な組み合わせ」という、不快な経験を幾度もしたことをきっかけに、スマートフォンのアプリケーションから「ボタン1つでハイヤーを呼べるサービス」としてUberは始まりました。

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画像:アスキー 東京のUber

 

これは私も大好きで何度も利用しているサービスです。特にアメリカに旅行した時は重宝します。登録しているクレジットカードでキャッシュレスでクレジットカードを取り出すことなく支払いが完了します。そして、ボタンを押した所にGPSで迎えに来てくれるので迷子になっても大丈夫。行き先を予めアプリで指定しておけば、会話をする必要もありません。英語が苦手な日本人にとっても、とてもフレンドリーなサービスです。日本ではUberの参入を妨げる規制が存在し、現在は東京でサービスを限定して提供しています。詳しくは過去記事のこちらを。

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画像:Uber

 

実はこのUberが画期的だったのは、UberのドライバーとUberの関係が雇用関係にないことです。Uberが事業主として行うのは、このドライバーと利用者のマッチングです。Uberのドライバーは自分の空き時間に待機し、利用者からの呼び出しを待ちます。

Uberはその間に立ち、「どのように両者をマッチングしたら最適か」を考え両者を引き合わせているのです。Airbnbと並び、シェアリングエコノミーの先駆けと言われているのがこのUberです。ドライバーの隙間時間と遊休資産である車両が、価値を生み出すようにプラットフォームを運営しているのです。

 

このマッチングもIoTによって実現しています。IoT時代の"モノ"の構成要素は過去の記事でもお話した通り、センサー、コンピューター、通信モジュールの3つです。 
※過去記事はこちら

 

Uberのドライバーはスマートフォンを携帯し、インストールされたUberのアプリから呼び出しを待ちます。この時Uberの自動車はGPSというセンサー、スマートフォンというコンピューターと4G通信が可能なモジュールを備え、"IoT時代のモノ"になるのです。

 

まさにConnected Car(コネクテッドカー)なのです。

 

そして、スマートフォンを持ったユーザーもアプリケーションを介して、ドライバーを呼び出します。もうお分かりの通り、GPSというセンサーから読み取った位置情報をインターネットを通してUberに伝えているのです、この時の"モノ"はスマートフォンです。IoTを象徴するような、まさに "モノ"と"モノ"がインタラクティブにやり取りなのです。そして、この位置情報や乗車のリクエストはUberのシステムが一定のアルゴリズム(規則)で自動的に処理をしています。

 

Uberはマッチング数を増やしたり、乗車までの時間を短くする為に、Uberのドライバーをどこで待機させるべきか、蓄積され続けるユーザーの過去の乗車データや、収集されるユーザーの位置情報に基づいて、どんどん最適化を進めているのです。

 

Uberの進出した地域ではタクシー会社が倒産する例も相次いでいますが、タクシー業界が危機感を覚えるのは当然で、旧態依然のやり方をして、規制に守られ、サービス価値は「人を車に乗せて運ぶだけ」という事業者が最先端のテクノロジーを駆使したUberに勝てるワケがないのです。

Uberはこれから何をしようとしているのか

Uberは中国や日本などの一部の特殊な地域を除き、勢力をどんどん伸ばしています。巨額の投資が集まり、彼らの評価額は前回の資金調達時で6兆円前後。これはGM(ゼネラルモーターズ)よりもホンダよりも大きい時価総額です。彼らは、まだ証券市場に上場をしていませんが、最近上場した中国のアリババ(20兆円超)までは行かないものの、かなり大きなIPOになる可能性があります。先見の明がある世界の投資家達はUberが目指すことに共感し、実現可能性を見出し、インパクトがあると信じているのです。

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画像:Forbes


では、彼らは何を目指しているのか、現在、Uberが目指すのは、もはや「ワンボタンで配車」という小さい世界の話ではありません。彼らの当初のサービスはシンプルに「ワンボタンで配車」でした。

しかし、彼らは利用者の乗車データ(つまりビッグデータ)を収集し分析するにつれ、Uberのユーザーの利用状況に、改善すべき規則性を見出しはじめました。「同じタイミングで同じ方向に向かう異なるユーザーが、別々の車に乗車をしている、これは非常に非効率」だと彼らは考えたのです。

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画像:本来あるべき移動の姿

 

それだけではありません。現代の車社会の現実を見ると、様々な問題があったのです。それは、際限がない自動車の製造による資源の利用や環境への負荷、うんざりするほどの道路の渋滞、今後迎える石油燃料の枯渇の危機、一人しか乗っていない車からの二酸化炭素の大量放出などです。

彼らはこの問題を解決し、自動車社会を21世紀にふさわしい形に最適化しようとしています。

Uberが描くマイル・ストーン

第一のステップ

その第一のステップはセンサーを備えインターネットに接続された車(つまりIoT時代の車=コネクテッドカー)から収集されたデータを用いて高度に需給調整がされたライドシェアや配車サービスを提供することです。

彼らが提供するサービスの中に「Uber PooL」というサービスがあります。これは「相乗りサービス」です。Uberが同じルートを通って移動したい複数のユーザーをマッチングするのです。Uberのユーザーが多い地域では、同時に何百箇所で乗車要求ボタンが押されています。Uberはユーザーの目的地も把握し相乗りができそうなユーザーを導き出します、ルートを自動調整し、乗客に相乗りの確認(料金は安くなる)をし、相乗りが対象のユーザーから承認が取れれば、ドライバーにピックアップの指示とルートを示すのです。

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画像:UberPoolが提供された地域で渋滞が解消された

 

料金が安くなるばかりか、使用燃料の削減、渋滞の緩和、CO2の削減などを実現できるのです。ドライバーも同じ時間でより多くの収入を得ることができるのです。冒頭に述べたような現代の車社会の問題を解決し得るのエコカーなどのハード面でもありますが、クリティカルなのは、このような需給の最適なマッチングなどサービスやソフト面なのです。

第二のステップ

そして第二のステップは自動運転によって、第一のステップで成し遂げたことを実現することです。自動運転は人工知能によって行われていると思われている方が多いのですが、より丁寧に記述をするのであれば「コネクテッドカーによって集められた走行データによって運転の方法を機械学習によって学んだ人工知能が、他のコネクテッドカーと通信を行いながら自律して車を制御して最適な運転を行う」と書くことができるでしょう。

人工知能は人類にとても大きな発展(同時に危険も)をもたらすと言われていますが、その理由はIoT時代が同時に進展するからなのです。もし、自動車が"IoT時代のモノ"の要件を備えなければ、自動運転車(セルフドライビングカー)は実現しません。人工知能がインターネットとUnconnected(アンコネクテッド)な環境で使用されるのであれば、発展も危険も小さくなるでしょう。

Uberはこの自動運転技術によって、第一ステップで行う需給の最適化をさらに加速しようとしています。

自動運転があれば、ドライバーがいなくても、需要があるところに自立的に車が走っていくのです。

  • ドライバーの分の重量は少なくなり燃費があがります。
  • ドライバーの賃金が必要ないので料金も安くなります。
  • 人間と違い、機械は休憩時間がいらないので自動車の稼働率も高くなります。
  • 自動運転は性能が高まれば事故率も大きく下がり死者の数も減るでしょう。
  • 渋滞が起こらないように自動車同士が相互に通信し交通を最適化します。
  • 需要が少ない時は車庫に自動で戻るなど自動車の数が調整されるようになれば都市部の車は大きく減るでしょう。
  • 排気ガスの減少、大気汚染の減少なども見込まれます。

 

Uberは既にピッツバーグで自動運転のタクシーをリリースしています。シンガポールでも今年の夏に世界で最も早く自動運転タクシーがリリースされましたが、Uberは世界的にシェアがあるので、普及させるパワーは他の勢力よりも早いでしょう。

他の自動運転に取り組むプレイヤーである、グーグルやテスラ・モーターズ、そしてレガシーな自動車メーカーも利害は対立しながらも、社会的に要請されるこのニーズに応えようとしつつ、様々な方向で取り組みを進めています。

Uberが描く交通の最終形態

第三のステップ

Uberは他のプレイヤーと目標の次元が1段異なります。彼らは第三のステップがあるのです。それは全ての交通を変革しようとしていることです。彼らは陸の使い方だけでなく、空の使い方のも最適化しようとしています。

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それが、2016年10月にUberが発表した空飛ぶウーバーUber Elevateのプランです。

驚くことに、これはウーバーのとんでもないアイデア、ではなく、Uber以外のプレイヤーが既に空飛ぶ自動車のモデルを続々と発表していて、技術的には十分に実現できるレベルまで来ているのです。

普及のカギとなるのはやはりルールの整備です。どのルートを飛ぶのか、落ちた時の責任関係や保険は、信号は?などクリアすべきハードルがたくさん存在しますが、専門家達は自動運転車が本格普及し始める2020年ごろには実用化されていると予想しています。

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画像:TechCrunch

 

もう一つ、最近のUberについてお話しするとすれば、それは、最近彼らが買収した自動運転トラック「OTTO」でしょう。

物流トラックの自動運転に取り組むスタートアップです。

実はこのトラックの自動運転化は乗用車の自動運転化よりも早いと言われています。その理由は2つ。

1つは、高速道路やハイウェイの自動運転化を狙っている為、ルートが単純で歩行者も自転車もいない為、人工知能が処理をしやすいことです。ラストワンマイルだけドライバーが運転すれば安全性は既にかなり高い水準で実現ができるのです。

2つに、トラックの自動運転化は重要が相当に高いことです。ECの爆発的な普及によって、物流のニーズがかなり高くなっています。広大なアメリカでは特にトラックドライバーの数が不足していています。長距離運転することにより、事故のリスクも高まることから、高速やハイウェイを自動運転化できることはかなりニーズが高いのです。

これは、トラックを自動運転化するというより、ハイウェイに鉄道的な物流網を作るといった方が正しいイメージなのかもしれません。一般乗用車よりも先にトラック専用のレーンが続々と設置されるかもしれません。

ワクワクする交通の未来はUberとともに!?

このようにUberは交通の最適化に向けて陸だけでなく、空も利用して最適化をしようとしています。「Uberのボタンを押したら家の前までセルフドライビングカーが迎えに来て、離陸可能地点までドライブ。その後、空港のヘリポートまで飛んで送ってくれる。着陸しらたUber Elavateからスマートフォンに通知があり、空港から目的地まで送迎する準備が整っていると教えてくれる。行ってみたら同乗者が何人かいた。皆同じところにいくようだ。」

こんな夢の交通が実現するのは10年以内かもしれません。私はとてもワクワクしています。


参考リンク:Uber関連

トラビス・カラニック: 車利用を劇的に効率化するUberのプラン | TED Talk | TED.com

We Take a Ride in the Self-Driving Uber Now Roaming Pittsburgh | WIRED

Uber's Self-Driving Truck Startup Otto Makes Its First Delivery | WIRED

Uber's Flying Cars Plan | WIRED

The 18-Rotor Volocopter Is Like a Flying Car, But Better | WIRED

 

自動運転バスやタクシー等々。世界の次世代自動車関連事業者の動向

Uberだけではありません。他のプレイヤーも交通の最適化をすべく様々な取り組みをしています。現在、最も効率的に乗客を輸送しているのは実はバスです。(鉄道を除いて)しかし、採算が採れる地域のみで便利な手段であって、採算がとれない過疎地域では利用できないか、次のバスまで1時間以上待たないといけないということがあります。理由は車両よりもドライバーなのです。

これもUber Poolのような精度の高い需給の調整と自動運転技術の組み合わせが解決しうる課題です。Uberのモデルの場合は「どこでもバス停になる」のです

一方、自動運転技術だけを使ってバスを提供する事業者はUberよりも先に登場しています。これは固定のルートを自動運転バスが通るモデルです。固定ルートなのでハードルも低いのです。いくつか事例を紹介します。

メルセデス:セルフドライビングバス Future Bus

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メルセデス・ベンツはFuture Busというコンセプトで未来の大型バスを発表しています。既にオランダで実際に走行テストを完了しました。運転席にドライバーを座らせ、いつでも自動運転を止められる状態でテストを行い、20kmの走行で一度もブレーキ、アクセル、ハンドルに触らず完全に自律的に事前にセットしたルートを走行しました。

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メルセデス・ベンツはFuturistic Car F015 という一般乗用車の「未来の車のコンセプトモデル」を発表しています。

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このFutureBusでも、F015でも、メルセデス・ベンツが強調するのは、「自動運転が実現したら車やバスの中で何をするのか」ということです。

  • 自動運転車時代のバスの中はレイアウトも変わるでしょう
  • 道路上においては、急ブレーキや信号待ちができる限り少なくなるように調整されるので、現在よりもよりリラックスできるレイアウトになるでしょう
  • リムジンの中のような体験をできるようになるかもしれません

FutureBusの中では置くだけでスマートフォンが充電できる肘置きが設置されています。また、各座席にはディスプレイが設置されスマートフォンでセンサーに触れるだけでパーソナル化された映像や音楽の配信サービスが提供されるかもしれません。広告が高度にターゲティングでき広告主にとって魅力的な高価が得られれば、バスの運賃が無料になることも考えられます。ドライバーのコストがゼロ、燃料がソーラーによって供給されるようになれば不可能な話しではありません。

これらが、ズバりConnectedなIoT時代の自動車によるカーライフや新しい交通ビジネスについて考えるべきことなのです。アメリカの例で言えば70億時間の余暇時間が増えるのです。コネクテッドな自動運転バスやタクシーは人々がこれまでも利用し、インターネットやディスプレイが結集した、様々なサービスを提供し得る場所になります。

自動運転が実現すればさらに長距離を移動する人が増えるでしょう。大きなビジネスチャンスが存在します。IoT時代の車はインターネットに接続されていて、モニターが搭載されます。そして、自律走行できます。これらの所与からどんなビジネスモデルを考えることができるか、そして利用する我々も考えて損はないでしょう。

参考:The Mercedes-Benz Future Bus | Daimler > Innovation > Autonomous Driving

EasyMile社:セルフドライビングバス EZ10

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このセルフドライビングバス(無人運転バス)は事例がどんどん出てきています。

こちらはEasyMile社のプロジエクトで、EZ10というフランスのLigierというメーカーが作った自動運転車を用いています。メルセデス・ベンツのFuture Busが大型バスであるのに対して、EZ10は「小型で短距離の乗り合い」をコンセプトにしています。

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リチウムイオンバッテリーを搭載し14時間の走行が可能で、12人が同時に乗車可能。速度は平均20km/h、最大40km/hと低速で短距離を走行する設計です。車体の周囲に設置されたセンサーが障害物を察知し安全停止するようになっており、設定したルートの環境、例えば新しいオブジェクトが設置されれば自動で把握しルートの調整の必要性を管理者に報告します。EZ10は走行中にカメラで記録した映像を地図情報と紐付け、3Dのマップとして記録しています。このマップも走行を重ねるごとに自動的に書き換えられていきます。

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利用用途としては、例えば、動物園やサファリパーク、大学のキャンパス内、大型ショッピングモール、空港のタワーやターミナル間移動などの施設内利用。小さい町の中でのコミュニティバスとしての利用や、デイケアや巡回介護などでの利用が想定されます。

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 このEZ10は2016年内に世界10カ国で同車両の提供を目指しており、世界の複数の地域で実験を開始しています。オランダのヴァーヘニンゲンという地域で2016年の1月に公道×無人運転では初となる実験が行われました。11月(出版時時点で現在)にはフィンランドのエスポーという地域で大学とショッピングセンターの間の行動で無人運転の実験が行われています。

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日本はDeNAが積極投資やR&Dを開始 バスやタクシーなど関連事業を幅広く模索

このEZ10は日本でもDeNA社と提携し千葉県のイオンモールにて無人運転バスサービス「Robot Shuttle」として2016年8月に実験をスタートさせました。DeNAは次世代自動車関連事業に積極的に投資を行っており。無人タクシーの領域では、つい先日上場することが明らかになった国内のロボットメーカーZMP社と共同で「DeNA ロボットタクシー」を設立しています。ZMP社は自動運転技術開発プラットフォームRoboCar®シリーズを自動車メーカーに提供しています。

ロボットタクシーは既に藤沢市にて公道で実証実験を行っています。実験では、トヨタ自動車の車に自動運転可能にするセンサーやコンピューターを設置し自動で走行させつつも、エンジニアとドライバーが同乗し、いつでもコントロールできるように安全を確保し走行しています。

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国内における自動運転の実現には道路交通法、そして日本が加盟する「ジュネーブ道路交通条約」でドライバーレスな自動運転が禁止されています。日本国内の法改正だけではなく国際条約も絡み、実現には時間を要すると言われています。

しかし、日本は高齢化による老人の足、過疎地での乗車サービスの提供、オリンピックや観光におけるインバウンド需要など、無人運転技術のニーズが非常に高いのです。政府はオリンピックがある2020年までに自動運転を実現しようと工程表まで発表しています。日本で生活に密着したIoTの大きな事例になるのは、この自動運転によるタクシーやバスになるかもしれません。

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DeNAは自動運転だけではなく、自社の強みであるインターネット×自動車でのビジネス創造を狙っています。。東京オリンピック以来、半世紀振りの大変化と捉え、「21世紀のモータリゼーション」と銘打ち、イノベーションを起こそうとしているのです。

彼らの方針は特定のビジネスモデルへのフルコミットは行わず、自社でのサービス展開や研究の実施、そして関連事業への投資を幅広く行っていくというものです。カーシェアリングサービスのAnyca(エニカ)やスマートフォン向け無料アプリの「ナビロー」、駐車場シェアリングサービスの「あきっぱ」への投資など、すでに事例がでてきています。

参考:ZMP Inc.

参考:DeNA AUTOMOTIVE | 自動車 × インターネットで新しいモータリゼーションを。

Google(グーグル):セルフドライビングカープロジェクト

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あまりにも有名なGoogleの未来の車、セルフドライビングカープロジェクト。2015年にTedトークでGoogle Xの自動運転車プロジェクトの責任者であるChris Urmson(クリス・アーマソン)がプロジェクトの概要を説明しました。

2015年時点でグーグルの試験車では既に合計で1.5万キロを自動運転で走行している。そしてグーグルの試験車のエラーに起因する事故はほぼゼロ。

グーグルは自動車の性能がどれだけ進化しても、人間という修正不可能なバグがある限り、交通事故は現在より大きく減少しないと考えています。

アメリカでは交通事故の原因の94%がヒューマンエラーによるもので、毎年120万件の人身事故が起きているそうです。人間より信頼のおける自動運転でこの問題の解決にアプローチするという方針は他のプレイヤーと変わりません。

また彼らは自動運転車は、老化や身体的な支障により運転ができない人々に新しい機会を与えることができると考えています。この「機会創造」というのはGoogleらしい考え方でもあります。

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画像:自動運転の定義とレベル分け

 

当初グーグルは『完全な自動運転』ではなく『ほとんど全てを自動車が行う』という方向性でプロジェクトを進めていましたが、このプロジエクトを統括するグーグルの研究機関、Google X(現在はXと呼ばれる)の責任者であるAstro Teller(アストロテラー)は「緊急時に人間がコントロールを奪い運転する可能性を想定しておくことは非常に悪い考えで、安全ではなかった」とし、プロジェクトの方針を『完全な自動運転』にシフトしました。

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画像:アストロ・テラー この人物について詳しくはコチラ

 

これは自動運転でいうと、レベル4という最も高いレベルで人間がコントロールを一切奪えないようにすることです。最終的なゴールでは、人間が行うことは、「目的地を車に伝えてボタンを押すだけ」で、他のことは全て車が自律的に行います。この事が理由でグーグルのセルフドライビングカーのプロトタイプには、ハンドルもブレーキもありません。

 

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トークのスピーカーであるクリスはトークの最後に「息子が免許を取得できる4年後までに、セルフドライビングカーを実現し、取得を阻止することは目標だ」と冗談交じりに語っています。これは2019年です。もう3年後です。

Tesla(テスラ):オートパイロット機能

テスラ・モーターズの自動運転についてはこのブログでも過去に紹介しましたのでその部分を引用しつつ、最新の情報を簡単に紹介します。

これがIoTが達成可能な『自律』です。自動運転車もこのような仕組みです。すべて機械が判断し最適になるように制御します。テスラ・モーターズは自動運転機能を使って、車を貸し出したり、自動でメンテナンス施設まで走行させたり、充電がなくなったら乗っていない間に充電スタンドまで走って行ったりという『フルオートメーション』を目指しています。これも人間が介在しないことで正確な判断や制御が可能になるのです。

最後のピースを埋めるのがソーラーシティです。「使っていない間は他のユーザーがアプリで呼び出し、呼び出しされた場所までモデルSがオートパイロット走っていく。そして、エネルギーはソーラーシティが提供するスタンドで勝手に充電する」という夢のような時代が間もなく来るようですね。

参考:イーロン・マスクのマスター・プラン2から、自動車産業の未来をまた(勝手に)妄想。ログインして住める車?人間はやっぱり運転禁止?ドローンが車にデリバリー?バスはなくなる? - TOKO PROJECT

"Cars are dangerous because humans drive them"

「自動車は危険だ、なぜなら人間が運転するからだ」

参考:2020年の市場投入?自動運転車がもうすぐ来る。未来の車社会の課題やインパクトを勝手に予想してみた。 - TOKO PROJECT

 イーロン・マスクは常々こう語ります。IoTの世界では人間がすることが変わりそうです。
参考:IoT(モノのインターネット)ができる4つのコト。『モニタリング』、『制御』、『常時最適化』、『自律』から考えスマートに繋がる世界を理解する - TOKO PROJECT

 

テスラ・モーターズは2016年の10月に、今後発売する予定のモデル3を含む、全ての製造中の車両にオートパイロットを行う為のハードウェアを搭載することを発表しました。360度に渡って、250メートル先まで確認できるカメラや障害物を感知する高度なセンサーを搭載します。この発表により、この次世代カーの市場でも最も早く自動運転が可能な車を発売するのはテスラ・モーターズだと言われるようになりました。

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テスラ・モーターズは現行のオートパイロットに大幅なアップデートを加える予定で、それを「Enhanced Autopilot(洗練されたオートパイロット)」と呼んでいます。

このオートパイロットはあくまでドライバーの補助に留まるというのがテスラの設ける定義です。ドライバーは車両をコントロールする責任が常にあるのです。テスラは路上で完全な自動運転ができる水準まで技術を高めていると言われていて、自動運転が法律的に解禁されれば、ソフトウェアアップデートで、全ての車両でこのオートパイロットができるようにすることを狙っています。その為に必要なのが、今回発表したハードウェアなのです。

これはまさにIoT時代の車のあるべき姿です。ハードウェアの要件さえ満たしていれば、インターネットに繋がっているので、ソフトウェアのアップデートで車の性能を向上させることができるのです。

ここまで話しても「自動運転!?」と思われる方の為に、テスラのオートパイロット機能では既に以下の4つのことができます。特に3つ目と4つ目の「AutoPark」と「Summon」はスゴいですよ。

クルーズ・コントロール(Cruise Control):渋滞や高速走行時に自動で速度を調節・制御してくれる

オートレーンチェンジ(AutoLaneChange):車線変更をしたい時に、安全を確認し、最適なタイミングで車が実施してくれる

オートパーク(AutoPark):走行中に車両が駐車場を感知したら、駐車するかをドライバーに確認し、同意すればその後は勝手に注射を完了してくれる

サモン(Summon):乗車していなくてもアプリケーションやキーから車両を召喚できる。(例えばホテルの入り口で駐車場に停めた車が、入り口まで来てくれる)

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自動運転の普及に渡って乗り越えるべき課題

今回の記事はIoTについてなので、省略しますが、下の記事で書いています。

その目次はコチラ

  • 自動運転車はまもなく実現する?
  • 自動運転の安全性とテスラの死亡事故について
  • 自動運転時の交通事故の責任の帰属先 AIはドライバーなのか?
  • 自動運転車の国、地域での交通ルールギャップの問題
  • 自動運転車で収集される搭乗データとプライバシーの問題
  • 自動運転車、つまり人工知能が運転する時の倫理判断の問題
  • 自動運転が社会にインパクトを与えそうな領域

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過去のIoTシリーズ記事はコチラからどうぞ! 

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