制したモノは10兆円企業に。今世紀最大の拡大市場、バーチャル・リアリティ。複合現実って何?最先端のマジックリープ社に迫った。
バーチャル・リアリティにいける!ワクワクする未来はすぐそこに。
オキュラス(Oculus)、HTC、Google、サムスン(Sumsung)、ソニー(Sony)、マイクロソフト(Microsoft)群雄割拠のヘッドマウントディスプレイの市場。最近では、ついにGoogleが自社ブランドのヘッドマウントディスプレイを新しいフラッグシップモデルであるPixelとともに打ち出しました。バーチャル・リアリティの世界が加速している気がします。
その市場で最も注目を集めながら、謎に包まれた企業であるマジックリープ社。
なかか、情報がないのですが、調べてみました。
1.マジックリープ(Magicleap)社について
2.MR(mixed reality)=複合現実って何?
3.マジックリープの何がすごいの?
徹底した没入感に彼らは挑戦しています。徹底した没入感へのこだわりとその技術です。この技術が他のライバル企業とは、レベルが一段階違い、多くの投資が集まっています。
没入感のカギである a chain of persuasion
更にマジックリープに迫る
参考:The Untold Story of Magic Leap, the World’s Most Secretive Startup | WIRED
Wiredが、とても秘密主義で情報を公開しなかった彼らについて、初めて詳しいインタビューをしています。この記事、英語なのもありますが、本当に読み応えがありました。。
筆者はこの人工的に作り出した世界とHMD(ヘッドマウントディスプレイ)による新しい体験とその業界について、長年取材しており、業界の歴史から近年のプレイヤー、今後の展望までを長編で語っています。自分の考えとともに紹介します。
telegraph.co.uk
ヘッドマウントディスプレイ、加速の鍵はスマートフォンの急速な普及。
下の写真のように、実は1990年代から、バーチャルリアリティをそれなりのクオリティで体験できるデバイスは存在し、グローブトラッキングや複数人での没入体験などは実現していたが、その何千ドルという価格から、コンシューマーマーケットへの投入にはほど遠かったようです。
この状況を大きく変えたのが、スマートフォン。ヘッドマウントディスプレイの市場が今、とても盛り上がっている要因は、スマートフォンの普及により、ディスプレイ、ジャイロセンサー、バッテリー、チップセットなどの価格が急速に下がっていることにあります。現在発売されているヘッドマウントディスプレイの技術のほとんどはスマートフォンから来ているようです。
インフラを超えたレベルの市場になる。インターネットの体験を再構築する技術
筆者はこの技術がインターネットを「情報」から「体験」に変化させると述べています。MagicLeapが目指す、人工的に作り出された現実のような世界と実際の現実を組み合わせた複合現実はインターネットを情報を得る・交わすというステージから、体験するに進化させます。「恐竜の世界を見聞きする」ではなく「恐竜の世界を体験する」になる。実際には、これを「体験した」と真に実感できるレベルに、複合現実を近づけていく事は多くの困難が横たわっています。しかし、これが実現された場合、現在存在するどれだけの事がリプレースされるのか、どれだけ新しいアイデアが実現できるようになるのか想像もつきません。人工的に作り出された世界は、我々の人生の一部になり、大航海時代に人類がフロンティアを求めた時のように新しい世界が広がり始めます。大きな違いはそれが有限であるか無限であるか。人工的に作り出せるのであれば、その可能性は無限です。
MRの世界は、まだまだ創世記。課題は山積みです。
複合現実が体験したと実感できるレベルとその世界が身近になるためにはまだ道のりは遠いです。筆者は以下のような課題があると言及しています。
The Dork Factor
Safety
Inadequate Interface
Narrow Field of View
Tethers
「The Dork Factor」、これはどういう事かというと、いくら複合現実体験が素晴らしくても、現状のヘッドマウントディスプレイを皆が装着している図はとても気味が悪く浸透しないという事です。googleグラスのような小ささでも、その気味の悪さから失敗したように、かなり小型化しナチュラルになる事が求められます。
www.forbes.com
「Safety」、ヘッドマウントディスプレイを装着して、その世界に没入してしまう事は、危険を伴います。容易に想像できるのは、実在するオブジェクトに衝突してしまうような物理的な事故ですが、個人的には精神的に影響するリスクが大きいと思っています。「現実だと思って体験したことが人工物で実在しないと知覚した時のショック」や「人工の世界だけでしか生きていられなくなり、現実世界で抜け殻のようになってしまった」、「複合現実の世界で体験したバイオレンスによりPTSDになった」などが考えられます。このような高度な没入感による危険は、現在発売されているVRヘッドマウントディスプレイでも考えられています。
「Inadequate Interface」、「Narrow Field of View」、「Tethers 」、現状で人工的に作り出したオブジェクトや世界を「体験した」と感じさせるレベルに到達できない要因として、これらが挙げられています。人工世界の広さがまず十分でない、即ち「現実だと思って体験していた世界が途中で消えてしまった」、「終わってしまった」など、これは、まだその世界をどう創るか、その文法やルールが規定されていないことや、創るツールが普及していない事が原因です。MagicLeapはAPIの公開を始めています。また、リモコンやマウス、グローブなどでコントロールをしないといけないようなインターフェースもこれを阻害します。どのようなインターフェースが利用可能かつ、体験のクオリティを上げるのかは多くの才能が取り組んで、近づけていくのでしょう。また、現状のHMDはPCやゲーム機などにケーブルなどで接続をしないといけないですが、これではモビリティがなく利用場所が制限されると「現実世界と人工世界が統合されない」状態になってしまいます。利用する場所が固定されないインターフェースの開発が必要になります。これには、バッテリー、ネットワークなども必要です。文法だけでなく、法整備も必要になります。これは自動運転車の「AIが運転して起こした事故は誰の責任か」というレベルではない課題です。「人工世界での犯罪」がどのようになるのかとても興味がわきます。これは映画アバターの世界に近い気がしますね。
MR業界を制するビジネスプレイヤーは今世紀最大の企業になる。
筆者は、「この業界を制するビジネスプレイヤーは今世紀最大の企業になる」と語っています。ここまでお話した事を考えると、そのポテンシャルについては納得がいきますが、ポイントとして興味深かったのは、上述した「文法」についてで、「人工的に創り出した世界が乱立する状態」より「より優れた文法で優れた世界を創り出した企業が独占をしていく状態になる」と述べてられています。優れた世界により多くの人が集まり、優れた世界は優れた文法やルールによって、自動的に拡大していく。これは現在のスマートフォンのOSや他のプラットフォームのビジネスとも通じる所があります。現時点で巨額の投資が集中している理由もここにあるのでしょう。
近い未来にまずオフィスからディスプレイがなくなる日が来る
dailymotion.com
この記事以外でいくつかのインタビューで見かた、「近いうちに実現する」と述べられているものとして、「オフィスのディスプレイをヘッドマウントディスプレイなどのウェラブルデバイスにリプレースする」ことがあります。上の画像は更に先ですが、下の、動画を見ていると、実現できてしまいそうな気がします。繰り返しですが、Magicleapが公開した最新の映像です。いくつものスクリーンを自在に操ることができます。
以上です。
最先端 HMD ( VR、AR、MR ) の 市場動向、市場予測に関する調査
- 作者: AQU先端テクノロジー総研
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