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着々と進むIoT(モノのインターネット)のポイントと海外の事例をお届けします。すべてが繋がる世界をイメージする。

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IoT(Internet of Things)の事例を紹介します

久々のテクノロジーシリーズ。最近、食べ物とか、ケータイとかに夢中になっていたので、本職に戻ります。やっぱり大好きなんです。この手の類の話。過去のIoTについての記事は以下の5本。まだまだ足りないので、しばらくこの話題を集中的に書きたいなと思います。

急成長中の世界のユニコーンPart①IoTスタートアップUptake Technologies(アップテイクテクノロジーズ) CEOはあのグルーポンの創業者 - TOKO PROJECT

農家の次の世代はロボット!?!?スマート農業が進んでいる。IoT(Internet Of Things)の農業への活用事例。 - TOKO PROJECT

デンソーのインダストリー4.0。平成32年までに全世界の工場でIoTを導入 - TOKO PROJECT

【Brexit】ドイツが主導するインダストリー4.0がイギリスのEU離脱に与えた影響?英国にとってEUという主導権争いのゲームは終了 - TOKO PROJECT

IoTを生活に。早く欲しい!暮らしを便利にする、スマートホームなおうち用IoTデバイスたち。 - TOKO PROJECT

 

IoT(Internet of Things)のポイントをおさらい。何を変えるんだっけ?

『Internet of Things』通称:IoT(以下、IoTで書きます)、日本では"モノのインターネット"と訳されることもあります。この訳は非常にいけていません。

モバイル・インターネット(要するに無線通信)と、センサーの小型軽量化、低コスト化が進んだことにより、ありとあらゆるものをコネクテッド(Connected)、つまりインターネットに接続できる状態が実現できる(できそう)になり、さらに、デバイスなどに内蔵されたり、道路などに設置された、無数のセンサーから集められる膨大なデータを用いて、繋がっているすべてのモノを(Everything)をスマートにシームレスに(自動・自律的に)連動させようと起きているムーヴメントです。

(説明が長い!!!!)

 

実は、IoTを実現している技術は古いものが多いです。既に書いたように、コストが下がり、価格がサービスとして提供できるレベルまで下がったことにより、加速しています。サービスがアベイラブル(利用可能)な技術を引っ張り出しているのです。

具体的な例でいくと、3Dプリンター。これは、デジタルファブリケーションとも呼ばれ、かなり昔からあった技術なのですが、特許権が切れたことによって普及したそうです。特許権が切れてコストが下がった、そしてインターネットが普及したことによって、レシピ(3Dプリンターで何かを作る為の)が手に入る用になったり、素材の調達も容易になったりしたことも要因です。

 

「すべてのモノが繋がることによって、何が変わるのか」、結論から言うと、「何もかも変え得るほどのポテンシャルがある」のです。

マッキンゼーが、2013年に発表した推計によれば、2025年にIoTがもたらす経済効果は、全世界で6.2兆ドルだと言われています。

 

しかし、それだと広すぎるので、少し絞ります。今回はサービスの提供側から見ていきます。ここまで絞っても、実はまだIoTのインパクト範囲は広いのです。

 

そこで、サービスの提供者側(つまり企業で働く人の)の視点から考えて、これは読んでいただいる方にも影響出そうだなというポイントと事例を紹介します。

 

  1. あなたが売るものはハードでも製品でもなくサービスになる
  2. あなたがするカスタマーサポートは能動的になり、開発も変わる
  3. データの取得範囲と取扱で頭を悩ませる

本日はこの1、2について、ご紹介したいと思います。

1.売るものはハードでも製品でもなくサービスになる。

IoTの最大の特徴はすべてのモノがインターネットに繋がるということです。身近な例でも増えてきています。スマートウォッチや、心拍数や活動量を記録するウェアラブルデバイス、そして、テスラ・モーターズの車、テレビ、面白い例だとテニスのラケットなど、インターネットに繋がり、センサーが内蔵されたデバイスがどんどん増えています。


インターネットに繋がる事によってできる事はなんでしょうか。

・遠隔でソフトウェアをアップグレードし顧客に新しい体験を提供できる

・顧客の使用やセンサーから得たデータでカスタマイズ(パーソナライズ)できる

・オンラインでサービスを提供することができる オンサイトのサポートを減らせる

 

今まで、車を売っていたメーカーは文字通り"モノ"を売っていたのです。テニスのラケットも"モノ"です。しかし、上の3つがIoTにより実現することで、ビジネスモデルが変わるのです。

有名な例なので、簡単に説明しますがテスラ・モーターズは、OTA(ネット経由)でソフトウェアを更新し、車に内蔵された大型スクリーンを通して顧客に全く新しい体験を与えます。これは夜間に行われ、朝、車に乗ったら、まったく新しい車に乗ったような体験を与えます。

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画像:Computerworld

車の分野では自動運転とライドヘイリング(ようはカーシェア)への取り組みも相まって、パーソナライズされたサービスを提供する企業が増えます。以前の記事にも書きましたが、車にログインしたら、「その人の好みから選曲するパーソナルDJサービス」や「運転の癖から、運転をアシストするサポートサービス(完全な自動運転までは)」などが提供されるでしょう。これらは新しい収益源になります。繋がることによってサービスの提供形態が変わるのです。

 

バボラ社はテニスのラケットを提供していましたが、内蔵されたセンサーから集めたデータをアプリケーションと連携しオンラインで解析し、プレイヤーにインサイト(アドバイス)を提供するサービスをはじめました。

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画像:Babolar

バボラ社はラケットも販売しますが、ユーザーが求め、享受しているのは、この「サービス」なのです。メーカー側は集まるデータが増えれば増えるほど、精度が上がり、ユーザーの体験が向上します。これにより、ユーザーは他社への乗り換えを躊躇し、ブランドへのロイヤリティを高めることができるのです。精度の向上によるサービス向上以外にも、「利用データ収集→パーソナライズサービスの提供によるロックイン(囲い込み)」も増えるでしょう。IoTとAIが相性がいいのはココで、無数のユーザーから集まった膨大なデータを分析して、1人のユーザーに最適な解を提供するパーソナルトレーナー的なサービスを顧客に提供できるのです。

 

これも"モノの販売→サービスへのシフト"の1例です。

他にも、オフィス用のエアコンも販売→温度センサーを設置して保守+αのサービスへのシフト、例えば、オフィス内の温度を感知して自動調整して光熱費を下げるサービスを提供したりすることもできるでしょう。冷蔵庫を販売するメーカーも、冷蔵庫の中にセンサーとカメラを内蔵しストックされている食品を認識し、食品のオンライン配達サービスを提供することもできるし、同じく光熱費を下げるようなことも可能でしょう。ただ、センサーやカメラを同時に活用することにより、スクリーンを通して広告を表示するだけ以上のサービス(新たな収益源)を実現できるのです。

※サムスンはIoT冷蔵庫を既に提供しています。

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2.カスタマーサポートは能動的になり、開発も変わる

このような変化はサービスを提供する側にいくつかの変化を強制します。

 

  • 顧客との関係
  • 顧客へのサポートラインとタイミング
  • 製品開発への姿勢

 

この3点です。

顧客との関係 新しいCRM

まず、顧客との関係ですが、これはこれまでよりも長期化します。アップルが成功している良い例です。アップルは顧客がiPhoneやMacを長期的に優れた経験や体験を与えることで、他社への乗り換えを許しません。アップルはハードを売っていますが、そのコアコンピタンスは体験、つまりサービスです。テスラの車と同じように、OTAアップデートでフレッシュな体験を与えたり、アップルストアにいけば、AppleIDベースで顧客のデータが管理されスムーズなサポートを受けられる。利用状況から、曲やアプリなどをサジェストするサービスもあります。

つまり、「売ったら終わり」で、次の買い替えまでパッシブ(受動的)な姿勢では淘汰され、アクティブ(能動的)な姿勢で顧客に優れた体験を与え続けないといけないのです。

既に述べたパーソナライズも含め、如何に顧客を満足させ、顧客をロックし続けられるかがカギになります。営業の役割は代わり、よりマーケティングや製品開発に携わる機会が増えます。

 

IoT時代で働くには、これまでよりも更に分野横断的なプレイヤーになるか最強のスペシャリストになる必要があるのです。

顧客へのサポート提供のラインとタイミング

顧客との関係も代わりますが、顧客にサポートを提供する方法も代わります。テスラ・モーターズの例は良い例で、顧客はディラーとコンタクトする必要がありません。

(※テスラは完全直販でディーラーを排除したので、この事で反発を買っています)

 

車に不調があれば、車からサポートセンターにコンタクトし、担当者はオンライン経由で"車に内蔵されたセンサー"からデータを集め、"クラウド上のソフトウェアで"、問題の切り分けや検査を行い、必要あれば車の回収を手配、ないしソフトウェアの調整でトラブルを回避します。これができれば、オンサイトのサポート拠点は減らすことができます。(本当にサービスや製品の特性上、それが適切ならメリットになる)

自動運転が完全に実現すれば、不具合があれば、車は勝手に修理工場まで走っていくでしょう。そして、テスラは"ロボットを直すロボット"も作っているので、これで完全に全てが自動化します。

検知→手配→移送→修理→返却 というすべてがコネクテッドになることで、全てがスマートに自動化されるのです。このようなセンサーと連携によるプロセス横断的な自動化がIoTのポイントです。AIやロボットと相性がいいのはこれが理由です。

 

また、このようなサポートの提供方法だけでなく、タイミングも代わります。何かトラブルが起こってからではなく、"予測して""事前に"、プロアクティブなサポートを提供することができるのです。

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過去に紹介したUptakeテクノロジは、鉄道会社などのメジャーインダストリーにIoTサービスを提供しています。線路や列車などに設置した膨大な数のセンサーから、トラブルや劣化が起こりそうな場所や車両を事前に予測し、未来の修理チームの配置までを事前にコントロールするサービスを提供しています。

テスラもこのようなサービスの提供は可能でしょう。ブレーキの劣化などを、総走行距離や減速のスピードなどから察知して、ソフトウェアでブレーキの効き具合を変えたり、顧客に点検を促すこともできます。

先日、私が経験したのは、アップルストアでの出来事です。アップルは既に、ユーザーの持つデバイスの問題解析をオンラインでできるようにしていて、「電池の劣化」を端末に触れずに検知することができます。今は行っていないですが、良いタイミングでユーザーに電池の劣化を促し、不要なトラブルによる悪い体験を回避することもできるでしょう。

このように、顧客との接点(サポートライン)タイミング(より早く)を変えるのです。

製品開発への姿勢

ここまで述べてきたIoTのメリットを実現する為に、いくつかの壁が製品開発をする人たちに襲います。1つは、期間。もう一つは、機能のバランスです。顧客との関係が長期化し、ハード→サービスへの収益源の変化によって、サービスも含めた開発のスパンはいわばフォーエバーになります。既に、サービスを提供してるソフトウェアの会社はそうなっていますが、これまでハードを中心にしていた会社にとってこれは大きな変化です。SONYも任天堂も最近はキャッチアップしていますが、ここで大きな遅れをとりました。日本のスマートフォンメーカーの敗因もこれです。よくある説明ですが、サービスシフトが遅れ、プラットフォーム戦争にも負けたのです。

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画像:4Gamer.net

そして、ハードとソフトにもたせる機能のバランスにも頭を悩ませることになります。ここまで述べてきたIoTのメリットを享受するためには、"機動性""可変性"が重要になるのですが、ハード側にリッチな装備が必要なデバイスはそうもいきません。「デバイス側で削っていいのはどこまでか」を意識しながら、デバイスをシンプルにする必要があります。シンプルにしすぎると、リッチなセンサーやモーター、例えばタイヤなど、製品の差別化や特徴を出し辛くなります。一方、シンプルでない(※最もシンプルなのは、スクリーンとセンサーとネットワークモジュールだけ)場合はその後の機動性を下げます。ソフトウェアでの対応に限界を作ってしまうのです。

 

このことにより、一部の製品では「これまではハードウェアに持たせていた機能を、クラウドベースで提供する」ことが進むでしょう。これは、簡素化することで、アップデートや調整を掛けやすくするのです。製品を一度、回収したり買い替えを促すのではなく、クラウド側のソフトウェアで調整するのです。

 

本日はココまでです。次回は3.の「データの取得範囲と取扱で頭を悩ませる」について、IoT時代のデータについてお話しできればと思っています。

 

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